ドン・ホンオアイ まるで山水画の様な美しく風流な風景写真たち

   




 

まるで古い東洋の絵画の様な、美しい風景写真を撮る写真家ドン・ホンオアイ(Dong Honh-Oai)氏。

 

これまで数々の国際的な賞を受賞し、2004年に75歳で彼が死去した後も、現在までその素晴らしい写真作品は世界中のコレクターによって収集され続けている。

 

日本における彼の認知度は2011年頃、まるで山水画の様にしか見えない彼の風景写真がすごいと某ネットニュース記事で紹介されたことをきっかけに、一時話題となった。

 

本記事では、そんなドン・ホンオアイ氏について、いろいろ調べたことをシェアしたいと思う。

 

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■ドン・ホンオアイ氏の生い立ち

 

[プロフィール]

 

・1929年生まれ

・中国(広東省広州)出身

・24人兄弟の末っ子

 

広東省に暮らしていた幼少の頃、7歳で両親が死去。

両親の死をきっかけにベトナム・サイゴンにある中国人街へ移住し、以降そこに長く住むこととなる。

13歳より中国人の経営する撮影スタジオで働きはじめ、基本的な写真技術の修行をする。そして21歳で、働きながらベトナム国立芸術大学に入学。

 

ドン・ホンオアイ氏が50歳となった1979年、ベトナムと中国の国境で紛争が起きたことから、ボートでアメリカ(サンフランシスコ)へと亡命。同地のチャイナタウンに定住した。

 

 

■台湾人写真家、ロン・チンサン氏との出会い

 

亡命後、語学力の無かった彼は、サンフランシスコの路上で風景写真を販売することで生計を立てていた(彼が写真を売っていた場所は、アメリカでは有名な百貨店「メイシーズ」前だったという)。

 

やがて中国に撮影旅行に行けるほどの収入を得られる様になり、そして彼が台湾を旅行中、著名な台湾人写真家ロン・チンサン(郎靜山 Long Chin-San※)氏と出会う。

 

※英語では「Lang Jingshan」または「Lang Ching-shan」と表記されることもある。

 

墨を用いて描く伝統的な中国絵画のエッセンスを写真に取り入れた、叙情的なロン・チンサン氏の風景写真に強く感銘を受けたドン・ホンオアイ氏は、その後同氏に師事し、弟子として彼の手法を学ぶこととなった。

 

師弟関係とあって、ロン・チンサン氏とドン・ホンオアイ氏の作品は、どちらも美しい水墨画の様な風景写真作品を数多く遺しているが、その作風の差として顕著な点は、ドン・ホンオアイ氏の作品には書と落款(らっかん)が押印してあることである。

 

書では詩などがしたためてあり、落款(らっかん)とは、書画に作者が自らの名を遺すための署名・印(判子)である。

 

■大器晩成なドン・ホンオアイ氏の成功

 

今や世界的に評価されているアーティストのドン・ホンオアイ氏であるが、その作品が認められ、アーティストとして大きく成功したのは1990年代、60才を過ぎてからである。

 

この頃にはストリートでの販売活動から一転、アメリカやヨーロッパ・アジア各国の美術館やギャラリー、美術コレクターから彼の作品が高額で取引される様になり、経済的にも大成功を収めた。

 

そしてドン・ホンオアイ氏は2004年、75歳で亡くなるまで、その生涯にたくさんの作品を遺している。

 

 

■まとめ

 

現代の写真加工技術をもってすれば、単にあの様な伝統的絵画風の加工を施すのは決して難しい技術ではないかもしれない。

 

しかしながら、特に海外では、現在(2017年)でも彼の作品の人気は廃れることが無く、不思議な魅力を放ち続けている。その変わる事のない魅力とは、中国の美しい風景を切り取る彼の圧倒的な絵画的構図の才能に他ならないのではないだろうか。

 

 - ピープル