吉田亮人の写真展「falling leaves」従兄弟・大輝さんと祖母の軌跡

   




 

開催5回目を迎えた京都国際写真祭2017で、ドキュメンタリー写真家・吉田亮人(よしだ あきひと)さんの作品展「Falling Leaves」が反響を呼んでいました。

 

本記事では、吉田亮人さんの経歴および、「Falling Leaves」概要とエピソードについてご紹介します。

 

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吉田亮人さんの経歴

 

プロフィール

出典:http://www.akihito-yoshida.com

・1980年生まれ

・宮崎県出身

・滋賀大学教育学部障害児教育学科卒業

・元小学校教諭

 

奥様の勧めにより2010年よりドキュメンタリー写真家に転身。

教員時代より現在まで、京都を拠点に活動されています。

2016年に、バングラデシュの造船所をモチーフにした作品で「日経ナショナルジオグラフィック写真賞2015・ピープル部門最優秀賞」を受賞。

 

これまでの作品には、同じくバングラデシュの労働者をモチーフに「Brick Yard」(2014)、「Tannery」(2016)の2冊の写真集を出版。

今回の作品展「falling leaves」は、写真集「The Absence of Two」と題して2017年8月に111部限定で出版されています。

 

作品展「Falling Leaves」とは

出典:http://www.akihito-yoshida.com/

これまで「労働者」や「働くこと」をメインテーマとしてきた写真家・吉田亮人さんですが、今回の作品「Falling Leaves」は彼が写真家を志した頃から撮りためてきた、ある2人の人物の軌跡を辿るものです。

 

そのお2人とは、吉田亮人さんの祖母、そして従兄弟の大輝さん

大輝さんは生まれた頃から祖母と同じ屋根の下で育ってきました

お祖母さまは1928年生まれ、吉田さんと10才年の離れた大輝さんは1990年生まれ。

幼少より一緒に暮らす祖母が大好きだった大輝さんは、大学では看護を勉強し、高齢となった祖母の入浴を介助するなどよく面倒を見ていました。

そしてお祖母さまもまた、大輝さんを「ナンバーワン」(の孫)と呼び溺愛。

 

吉田さんの写真はどれも、仲良く暮らす2人の日常を見守るような視点で切り取っていて、とても暖かさを感じる素敵な写真ばかりです。

撮影は数か月に一度、定期的に吉田さんが京都から地元の宮崎へと出向く生活を6年続けました。

 

しかし撮影を始めて6年後、事態は急転

当時23歳だった従兄弟の大輝さんがバイクで出かけたきり失踪し、1年後山中で死亡が確認されたのです。

最愛の孫の死を受け憔悴したお祖母さまは、その翌年に亡くなります。

 

なぜ従兄弟・大輝さんは亡くなったのか

 

ある日バイクで出掛け、1年後に山中で遺体となって発見された大輝さん。

祖母も孫の吉田亮人さんも、失踪していた1年間大輝さんはどこかで働いて生きているのだろう、と考えていたそうです。

大輝さんの死について分かるのは、「自殺」であること。

大輝さんは失踪の前に

「ばあちゃん いつもありがとうね 元気でいないよ」

と祖母に書き置きを残しています。

※「いないよ」は方言で、「いてね」の意)

 

自死の理由は遂に誰にも分かりませんでした。

「Falling Leaves」は、山中で見つかった大輝さんの遺体に木の葉が積もっていたことから名付けたそうです。

 

まとめ

 

笑顔と幸福の溢れる暖かな写真は、それ故に結末を聞いてしまうとあまりに悲しく、涙を零さずにいることができません。

そして、「なぜ?」という思い。

彼は何を思い、何に悩んでいたのでしょうか。

見終わった後、自殺とはなんと悲しく、そして一体生きるとは…何なのか?その意味を深く考えさせられました。

 

 - ピープル, ライフ